教育県民会議「高校再編」で県教委要請

子どもと教育をまもる山口県民会議(事務局:高教組)は10月17日、県教委に高校再編整備計画後期実施計画(素案)についての要請書を提出しました。教育県民会議からは熊野讓代表他、高教組、県教組、山大教組、県医労連、県人権連等から8人が参加しました。要請では「拙速な提案であり、住民への周知も十分図られることなく計画が進められようとしている」と指摘し、計画(素案)の撤回を求めました。また、「活力ある学校づくり」「切磋琢磨」等は必要かもしれないが、小規模校の意義や利点を踏まえて生徒の学ぶ権利を保障すること、学校の教育課程編成権を尊重し、学校における協議と期間を保障すること、生徒・保護者・住民・当該自治体と十分話し合うこと、説明会やパブリックコメント等で出た意見に真摯に対応し、「素案」の変更もあり得るとの姿勢を持つこと等を求めました。
県教委は、「あくまでも素案なので、説明会やパブリックコメントなどの意見を踏まえて策定に取りかかりたい」と答えました。
2025年山口県人事委員会勧告について(声明)
高教組は10月17日、2025年山口県人事委員会勧告について声明を出しました。
2025教育講座開催 教育DXとは?学校の原点とは?

高教組は10月13日、2025高教組教育講座を開催しました。午前中は児美川孝一郎(法政大学)さんを講師に講演「教育のデジタル化と高校再編にどう向き合うか」に学びました。児美川さんは、ICTなどテクノロジーそのものはニュートラルだが、教育DXはデジタル化を通じて教育の在り方そのものを変える政治や政策の問題だと指摘。特に新自由主義改革のもとで、「安上がりな公教育の構築」「産業界に役立つ人材の育成」「公教育の市場としての開放」の3点を指摘し、教育DXのもとにおける「高校再編」の狙いや動向を解き明かしました。
また、教育DXは児童・生徒への「一人一台端末」(個別最適)の配布を前提に、文科省の頭越しに経産省主導で構想され、出発点が景気対策であったこと、それと並行して、経産省は「未来の教室」やEdtech、STEAM事業を通じて公教育の市場化をねらい、現に学校教育に広がっていることを報告しました。これが進むと企業や教育産業が授業等を製作・提供し、教師は児童・生徒を励ますだけの存在になってしまいます。これに対する文科省の対応が「令和の日本型学校教育」ですが、今や「教育改革」を主導しているのは内閣府「Society5.0の実現に向けた教育・人材育成に関する政策パッケージ」など総合科学技術・イノベーション会議であるとして、「教育改革」の現在地をあきらかにしました。一方、ICT偏重の教育は子どもの学力低下をもたらしており、共同での豊かな学び、集団の中での人間的諸能力の獲得、市民と主権者の育成、働く場の主人公の育成など、学校は何をするところなのか原点にかえって考えていくことの重要性を指摘しました。
午後からはインクルーシブ教育を考える、青年の語り場、給料・諸手当、権利を学ぶの3分科会に分かれて交流、学びあいました。
すべての自治体労働者の待遇改善もとめ自治体キャラバン

高教組は県労連・県公務共闘とともに「自治体で働く労働者が正規、非正規を問わず安心して働くための申し入れ(自治体キャラバン)」を行いました。今年で20回目の取り組みとなります。今年は10月2日から7日にかけて山口県と県内すべての市町を訪問。事前にアンケートをお願いし、集計結果をもとに、正規職員数・非正規職員数の増減や課題、時間外労働の状況、初任給格付け、採用試験の状況、会計年度職員の待遇、男女賃金の差異、給与制度のアップデートの状況等について意見交換しました。
今年度からいくつかの自治体で高卒初任給の格付けや会計年度の一時金等が改善されており、自治体の担当者にとっても貴重な資料となっています。懇談ではどの自治体も募集や人員確保に困難を抱えていること、開庁時間など働き方改革の工夫などが語られ、人員については定員削減よりも人員確保の姿勢の方が目立ちました。