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「ニュース・報告」カテゴリーアーカイブ
2025教育講座開催 教育DXとは?学校の原点とは?

高教組は10月13日、2025高教組教育講座を開催しました。午前中は児美川孝一郎(法政大学)さんを講師に講演「教育のデジタル化と高校再編にどう向き合うか」に学びました。児美川さんは、ICTなどテクノロジーそのものはニュートラルだが、教育DXはデジタル化を通じて教育の在り方そのものを変える政治や政策の問題だと指摘。特に新自由主義改革のもとで、「安上がりな公教育の構築」「産業界に役立つ人材の育成」「公教育の市場としての開放」の3点を指摘し、教育DXのもとにおける「高校再編」の狙いや動向を解き明かしました。
また、教育DXは児童・生徒への「一人一台端末」(個別最適)の配布を前提に、文科省の頭越しに経産省主導で構想され、出発点が景気対策であったこと、それと並行して、経産省は「未来の教室」やEdtech、STEAM事業を通じて公教育の市場化をねらい、現に学校教育に広がっていることを報告しました。これが進むと企業や教育産業が授業等を製作・提供し、教師は児童・生徒を励ますだけの存在になってしまいます。これに対する文科省の対応が「令和の日本型学校教育」ですが、今や「教育改革」を主導しているのは内閣府「Society5.0の実現に向けた教育・人材育成に関する政策パッケージ」など総合科学技術・イノベーション会議であるとして、「教育改革」の現在地をあきらかにしました。一方、ICT偏重の教育は子どもの学力低下をもたらしており、共同での豊かな学び、集団の中での人間的諸能力の獲得、市民と主権者の育成、働く場の主人公の育成など、学校は何をするところなのか原点にかえって考えていくことの重要性を指摘しました。
午後からはインクルーシブ教育を考える、青年の語り場、給料・諸手当、権利を学ぶの3分科会に分かれて交流、学びあいました。
すべての自治体労働者の待遇改善もとめ自治体キャラバン

高教組は県労連・県公務共闘とともに「自治体で働く労働者が正規、非正規を問わず安心して働くための申し入れ(自治体キャラバン)」を行いました。今年で20回目の取り組みとなります。今年は10月2日から7日にかけて山口県と県内すべての市町を訪問。事前にアンケートをお願いし、集計結果をもとに、正規職員数・非正規職員数の増減や課題、時間外労働の状況、初任給格付け、採用試験の状況、会計年度職員の待遇、男女賃金の差異、給与制度のアップデートの状況等について意見交換しました。
今年度からいくつかの自治体で高卒初任給の格付けや会計年度の一時金等が改善されており、自治体の担当者にとっても貴重な資料となっています。懇談ではどの自治体も募集や人員確保に困難を抱えていること、開庁時間など働き方改革の工夫などが語られ、人員については定員削減よりも人員確保の姿勢の方が目立ちました。
「高校再編整備計画後期計画(素案)」に対し高教組見解を発表

県教委は「県立高校再編整備計画 後期実施計画」(素案)を10月1日、9月県議会文教警察委員会で公表しました。これを受け高教組は10月7日、「素案」に対する執行委員会見解を県政記者クラブで発表しました。見解は、「素案」は適正規模「4~8学級」に固執しており、小規模校の意義を見直す必要があること、「素案」は教育の機会均等の侵害と地域の衰退をもたらしかねないこと、学校の教育課程の編成権を保障すべきこと、定時制や特別支援学校の課題が欠如していること、民主種的な議論の確保の必要性等を主張しています。テレビ・新聞など8社の出席があり、意見交換が行われました。

不登校等の現状を学び共に考える

子どもと教育をまもる山口県民会議の総会・学習会が9月23日、山口市で開催されました。学習会では、不登校等の悩みを抱えた子どもたちを受け入れているハッピーエデュケーションの村上忍さんによる講演と、実際に悩みを抱えるなかで、ハッピーエデュケーションと出会い、活動する子どもや保護者を交え、小グループに分かれてのフリートークが行われました。
不登校の児童・生徒は全国的にもどんどん増えていますが、その理由は様々です。学校に行きたいけれど行けなくなった子ども、学校に登校できているけれど欠席や遅刻が多くなる子どもなど、今の子どもたちが抱えるものは多岐にわたっています。そのような中で、大人である教員はどう寄り添うのか、大人が考える「多様」に子どもたちを当てはめようとしているのではないか、子どもたちが求めているものは何なのか、改めて考えるきっかけとなった学習会でした。

県人事委員会・人勧前県教委交渉で改善勧告求める
教職3団体(高教組・高職組・県教組)は9月5日、第1回目の県人事委員会交渉を持ちました。人事委員会からは上野委員長はじめ8名、3団体から9名の役員が出席。3団体は人事委員会に対して労働基本権制約の代償措置として積極的な役割発揮を求めました。各団体から上野委員長に重点要求を伝えるとともに、1回目の交渉課題として賃金・諸手当を中心に交渉・協議しました。9月12日の2回目の人事委員会交渉では超過勤務縮減や定数増などの勤務環境整備、給特法等の見直しや非正規問題など人事行政について交渉・協議しました。
また、教職3団体は9月9日、人事委員会交渉と並行して県教委交渉を持ちました。この交渉は人事委員会勧告前の交渉であり、確定交渉に向け要求実現を迫る重要な交渉です。各課長出席のもと基本確認を行い、各課と交渉・協議(教職員課長及び各課副課長)、3団体の要求を人事委員会にも伝えるよう求めました。写真は第1回県人事委員会との交渉。
詳細は「速報」37号、38号、39号を参照してください。

山口地方最低賃金「時給1043円」に異議申し出
高教組は9月3日、山口地方最低賃金審議会が示した2025年度山口地方最低賃金を「1時間1,043円」とすることを不服とし、「時給1,500円」以上とするよう異議申し出を行いました。また、そのための原資、中小企業対策を政府及び中央最低賃金審議会に要請するよう求めました。
カスハラから若い労働者を守る ー 山口県就職連絡会合同学習会

山口県就職連絡会(事務局:高教組)は9月3日、「公正・合理的な従業員採用システムを確立し、青少年の進路を保障するための合同学習会」を山口市内で開催しました。学習会には行政・企業・団体等から76名が参加しました。
山口県では高校生の就職にあたって「能力と適性」を徹底することで就職差別を克服してきました。一方、若者の早期離職等も課題になっていることから、今年の学習会では「カスタマーハラスメントから若い労働者を守る」というテーマを設定しました。講師は内山新吾弁護士(山口第一法律事務所)。内山弁護士は、カスハラの定義からその実情、カスハラによる弊害、カスハラの判断基準、カスハラ行為者の責任とカスハラから労働者を守る使用者の責任、事業者が講ずべき具体的な措置など分かりやすく説明。法制化されたばかりの課題でもあり、参加者からの質問も多く、相互に理解を深めることができました。事務局からは高校生の就職状況や実態を報告。あらためて「能力と適性」に基づいた就職ルールの徹底を要請しました。
「ゆきとどいた教育と進路保障」で中国ブロックキャラバン
中国地方の各県教職員組合や教職員の会は毎年8月末、各県・各県教委に対して「ゆきとどいた教育と進路保障を求める要請」を行っています。今年は、8月25日の山口県を皮切りに広島県、岡山県、島根県、鳥取県を3日間かけて回りました。
キャラバンでは、教育予算・教育の充実、就修学の保障、高校生・青年の就職保障の3点を中心に要請。山口県では学校における1人1台端末への公費負担・援助等を拡充し、高校でも国による財政措置を求めるよう要請しました。また、来年度から私学においても高校授業料の無償化が始まるにあたり、地域の公共の課題とも結んで公立高校の施設・設備の充実をはかり、後期中等教育の保障に尽力するよう求めました。高校生の就職ルールについては、募集の早期化が検討されている状況のもとで、安易に早期化するのではなく、生徒の学習保障や学校の実態を踏まえ慎重な検討を求めました。自衛隊に対しても就職ルールを守らせるよう書面で申し入れるよう求めました。自治体が高校卒業予定者の個人情報を自衛隊に提供していることについて、個人の尊厳、個人情報保護、高校生の就職ルールを遵守する立場から、閲覧をはじめ個人情報の提供を行わないよう申し入れるよう求めました。
キャラバンを通して中国5県の状況をつかみ、教育条件等のさらなる拡充を求めていきます。
被爆80年 原水爆禁止2025年世界大会で核廃絶誓い合う

世界が戦争か平和かの重大な岐路に立たされているもとで、核保有国や一部の国が核兵器への依存を深めていることが深刻な事態をひきおこしています。こうしたもと、被爆80年の節目の原水爆禁止世界大会は、8月6日のヒロシマデ-集会に2800人、9日のナガサキデー集会に3200人が参加しました。海外からは、核兵器禁止条約を推進する諸国政府の代表や反核運動の代表など、15カ国、200人以上の参加がありました。
大会は、核兵器禁止条約の重要性を強調し、国際会議宣言は「核兵器禁止条約を生み出した被爆者を先頭とする市民社会と諸国政府との共同こそが、世界の本流である」と述べ、核保有国と同盟国における条約参加を求める運動の発展をよびかけ、来年開催される核兵器禁止条約再検討会議およびNPT再検討会議に向け共同の行動を確認しました。被爆の実相を世代を超えて継承していくことも重要な課題となっています。
高教組からも複数名が世界大会に参加。また、全労連主催の「核兵器のない平和で公正な世界をめざす労働組合国際会議」への参加もあり、なぜ労働組合が平和のためにたたかうのか、各国の労働組合の代表と交流しました。
高校生の就職保障で労働局要請
すべての若者に人間らしく働ける就職保障と県内中小企業の活性化を

山口県就職連絡会(事務局・高教組)は7月29日、山口労働局と高校生など青少年の就職保障に関する要請・交渉を行いました。労働局から鈴木局長など8名が出席しました。
少子化や労働力不足から求人状況は上向きな状態が続いています。その一方で高校の不登校は過去最大を示し、就職にいたらない若者や就職できても非正規労働から抜け出せない若年労働者も多くいるのも実態です。空前の内部留保を抱えている大企業の社会的責任が問われています。
このような状況の下、今春の山口県内高卒者の3月末現在の就職内定率は前年同様99.7%でした。県内定時制卒業生の就職内定率は100%、県内特別支援学校卒業生の内定率は95.7%でした。
山口県内では、岩国地区県内内定率は6割超、下関地区は7割超となっており北浦地区と合わせ、県外への若者の流出が昨年より増加しました。福岡、広島、関東関西圏域への流出が顕著で、地域間格差の影響を受けています。県内で頑張っている中小企業の支援が必須です。県労働行政での支援策の拡充と国への要望を求めました。
採用活動の時期を早める動きが出ています。中央の就職検討会議で企業側の要請で出てきたものです。来年には方向性が決められる可能性があります。現在の採用活動のスケジュールが早まれば、学校現場に教職員の多忙化をはじめ生徒への影響も懸念されます。教職員の意見を必ず反映させる形で方向性が出なければいけません。
自治体から高校卒業予定者等の自衛隊への名簿提供が全国的にも問題になっています。山口県のすべての市町で自衛隊への名簿提出や閲覧が行われています。高校生の知らないところで、個人情報が行政によって特定の就職先に提供されています。明らかな人権侵害、就職ルールの逸脱です。労働局へは自衛隊も就職ルールを守るよう、自衛隊への要請を求めました。